三國志の人気はやっぱりゲームの影響ですか?
「現在の」といえばそうです。
吉川英治の小説は戦前のものですが、「ロングセラー」であっても「ベストセラー」ではない。横山光輝のコミックも、掲載誌を頻繁に変える必要があるほど、人気がそれほどでもなかった。
今から20年位前は、「三国志」と言っても知ってる人はあんまりいなかった。私より年上の、作家の田中芳樹が子どもの頃から中国歴史物語が好きで、友人に「曹操が・・・」と言ったら「ソウソウって、変な名前ー!」と笑われて相手にされなかったと書いています。この雰囲気は私もよく分かりますね。
昭和40年代に武田泰淳が、新聞に中国史小説を書こうとしたら、編集者に「中国物は売れないので止めてください」と言われたとか・・・。
この状況が大きく変わったのは、85年にコーエーがSLG「三国志」を発売してからです。
前評判もさほど高くなかったのに、クチコミで人気が出てベストセラーになった。ゲーム人気で日本テレビでアニメ化もされ、中国の「三国演義」と言う映画も公開された。コーエーもファンを増やすべく、「爆笑三国志」などムック本を多数出版したのです。
ファミコン版が発売された後、ショップでおばあちゃんに連れられた小学生の子が、「三国志が欲しい」とねだっているの見て、私は眼を丸くしましたね。こんな日が来るとは、思わなかった・・・。
ブームの起こる80年代後半の、それ以前を知らない人が「昔から大人気だった」とか言ったりしますが、実地で経験した私から見れば、「真っ赤な嘘」です。
小説もあった、コミックもあった、人形劇もあった、でも、今ほどのムーヴメントの熱気はなかった。全く知らない人のほうがはるかに多かった、と言うのが実情です。
私は「横山三国志」でハマり、その後コーエーのゲーム(もっぱらシュミレーション専門ですが)に行った口です。最近の若い人の間では「三国無双」の影響はやはり大きいでしょうね。まぁ諸葛亮がビームを撃つような世界を三国志と呼んでいいのかどうか微妙ですが。でも無双から歴史や演義に興味を持つ人もいるでしょうね。
小説の影響だと思いますよ。ていうか、小説がなければ、ゲーム化されてないでしょう。基本的に吉川英治の影響は強いです。昭和の大ベストセラーでしたからね。現代の作家や三国志を扱う人ならかならず一度は通ってる。(ま、逆にいうと吉川英治も知らないようだとモグリなんだけど・・・。)さらにさかのぼれば、錦絵とか、歌舞伎とか、講談とか、三国志は脈々と日本で語り手を変えても、語り継がれてきてます。PCゲームどころの話じゃないです。日本での三国志人気は、(近代)相撲と変わらないくらいの歴史が十分にありますからね。光栄が最初にゲーム化したときは、MSXとかPC88、98でしょ。PC98版の三国志第一作目は特に秀作だったけど、あれからあんまり変わってないというのが、ゲーマーの笑い種になってますが、三国志ゲームのれきしはせいぜい20年そこら。江戸時代からつづく三国志演義、つまり本流からするとまだまだ最近の話といえるでしょうね。
あ、横山光輝も確かに、影響は強いでしょうね。あの長い物語をほとんど省略なく漫画で書き上げたのはさすが。ちなみに演義は全120話で構成されている。横山光輝の三国志はちょうど60巻だ。
いや、やはり一番の功労者は「鉄人」横山先生だと思います。
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